【(株)對馬原木しいたけ】対馬の豊かな自然で育つ希少な原木しいたけ「森のアワビ」
社員を守る、地域を守るため、対馬の伝統産業「原木しいたけ」への挑戦
――どんな事業をやっていますか。
原木しいたけの栽培を始めて今年で10年目になります。もともとの本体は建設業です。ただ、離島の場合、公共事業が9割ですので、政権が変わったりすると仕事がなくなり、倒産していく会社も多くて。その中で、社員を守る、地域を守るために、対馬で何ができるかを考えた際に、この土地に昔からある産業の原木しいたけしかないと思った。
ところが、市場にあるしいたけは菌床栽培いわゆる人工栽培が9割で、原木栽培は1割しかない。やればやるほど、これを続けていかなければという想いと、全国に展開していきたいという想いになりました。
一番のウリは、対馬の栄養をたっぷり蓄えた原木
――生産にあたってのこだわりはありますか。
原木しいたけは、農薬や肥料は一切使わず、木の栄養だけで育ちます。この伝統的な作り方をそのまま受け継いでいます。とくに対馬の広大な山の中には、原木になる木が自生しており、対馬の潮風や太陽の光で育った木を、そのまま使うことにこだわっています。また、使い切った原木は、粉砕し、しばらく置いておくとほぼ土に戻ります。こうして自然に循環する生産をしています。
喫緊の課題は原木しいたけを絶やさないこと
――生産の課題はありますか。
一番難しいのは、売り場と働き手の課題です。しいたけについて、菌床と原木の栽培方法の違いを知っている人は少ない。さらに、中国産のしいたけに市場が押されており、価格で負けてしまうのが現状です。また、生産者も高齢化しており、一番作っている大分でも平均年齢が72~73歳と聞いています。時が経つにつれて、知名度が下がっていく現状をどうするかが喫緊の課題です。
――菌床栽培と原木栽培の大きな違いはありますか。
味がまったく違います。また、厚みもあり、ずっしりと重く、歯ごたえがしっかりとしているのが原木しいたけの特徴で、とくに対馬のしいたけは「森のアワビ」と呼ばれています。生産方法を一度見て頂くと、一番違いがわかると思います。
今こそ、生産者がひとつになって勝負するべき
――みんなに知ってほしいことはありますか。
原木しいたけの市場に限っていうと、対馬も含めて、大分県、熊本県、宮崎県の生産者がひとつになるべきだと感じています。対馬でも、企業として原木しいたけを作っているのは、うちだけ。あとは、個人生産者さんです。なんとかして、原木しいたけを盛り上げていきたいです。
――社団に期待することがあれば教えてください。
私達にとっては、島の外で販売していくことが課題です。ただ、一番の課題は島の人口流出を止めること。そのためには、この地域の産業で安定的な生産と販売ができることです。
対馬の原木しいたけに限ると、周りの農家さんも含めると、在庫自体は大量にあります。だからこそ、どーんと勝負をしていきたいです。
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