「協会設立にかける想い」~使命と決意~ 理事長 千野和利
『日本食糧新聞(2019年12月9日12面)』に掲載されたインタビューの全貌を「協会設立にかける想い」として6シリーズに分けてご紹介いたします。
第一弾は、協会設立にかける理事長千野和利(阪急オアシス・前代表取締役会長兼社長)の「使命と決意」についてです。
ー現役を離れて昨今の小売業を見ての率直な感想はありますでしょうか?
本年3月に完全退任してからの半年程の間に、小売業の業態(スーパー,総合スーパー,コンビニ,百貨店,ドラッグストア等)の中でダイナミックな店舗閉鎖、要員整理、統合再編の嵐が吹いていると感じる。これは一重に人口動態の変化からくる人口減、高齢化の中でのマーケットの縮小に対して、過剰な商業施設の淘汰が急速に進んでいる現象ですが、私共が思うよりスピード感が速く感じます。
ー昨今、離島振興・地方創生という言葉をよく耳にしますが、なぜこの言葉が世間の話題になっているのでしょうか?
明治維新以降、伸び続けた人口が2004年にピークを迎え、50年には1億人を割り、右肩下がりの人口減と高齢化の時代を迎えます。このような折、高度に発達する技術革新と過去に蓄積された知見を駆使することにより、如何に新しい時代を創り上げられるかの岐路に立っていると思います。
離島というのは、これからの日本の縮図でありますが、少し長いレンジで見た時、日本、本島内における地方の状況も全く50歩100歩として把える必要があると思えます。
ーまず離島振興の必要性から解りやすくお話いただけますか。
日本は7000近い島々から構成される海洋島嶼(とうしょ)国家です。
正確には6852の島の内、本土の5島(北海道、本州、四国、九州、沖縄)以外で有人島は416あり沖縄、奄美、小笠原については開発等での特別措置法が法制化され、残りが離島振興法の対象になっています。いずれにしても、日本は島国であり、本土を取り巻く有人国境離島が文字通り日本の領海と排他的経済水域(EEZ)を決める重要な国土です。
ー離島の重要性については多少理解しましたが、日本の離島の現状と定住する人口の推移並びに今後の展望はいかがでしょうか。
この有人国境離島の中で比較的面積も大きく、島民人口も多い島を特定有人国境離島といい、8都道府県で71島あります。
それらの71島には現在27万人居住されているが、例を挙げますと長崎の対馬、壱岐、五島における島民は1960年に32.7万人が55年後の2015年には62%減り12.4万人まで激減しています。他の島もほぼ同様の状況です。島民人口減少の要因は高齢化による自然減に加え、島内での雇用を充足する産業が少ないため、学校卒業と共に島を離れ本土に就職せざるを得ない、また都会から島に帰るにしても、雇用口が少ないためUターンできないのが実情であり、その結果、ますます島内における人口減を加速させるという悪循環に入っている。
このまま放置すれば無人島化に限りなく近づく訳だから、それを食い止めるためにも島内に産業を創出し、振興してゆくことが日本の国境を守る為にも必要な事柄と思えます。
~第二弾へつづく~
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